弁理士会主催の「中国における模倣品流通実態・対策と知財訴訟の最新情勢と実務」を受講しました。
講師の分部悠介先生は、中国に会社を設立されて実際に模倣品対策をされているとのことで、非常に内容の濃い研修だったと思います。
私にとって特に印象に残ったのが、模倣品の製造や販売を止めさせるために中国で訴訟を行う時の話でした。
中国で専利権(日本で言うところの特許権や実用新案権、意匠権)を持っていて、模倣行為を行っている第三者を権利侵害で訴える場合においては、第三者が模倣品を製造したり、販売したりしていることを証明する、侵害行為の立証が最も重要になるそうです。
そして模倣行為が行われていることを立証するためには証拠が必要ですが、その証拠の要求が特に厳格で、模倣品を製造したり販売したりした行為に対して「公証認証手続」が必要とのこと。
具体的には、模倣品が製造されていることを公証認証するためには、公証人(中国で司法試験に合格したなどの要件を満たす人)を製造現場に連れて行き、実際に公証人に模倣行為を確認してもらったうえで、公証人が見たことを「公証書」に書いてもらわなければならないそうです。
模倣品ですから当然秘密裏に製造していますよね。そのような場所に素性を明かさずに入り込むことになりますので、かなりハードルが高いと思います(・o・)
分部先生の会社ではこのような事に長けた人材がいるそうですが、実際に中国で訴訟を起こす際には、このあたりの事情をよく知った現地代理人に依頼する必要がありそうです。
また、裁判所の管轄も注意する必要があるとのことでした。
特に、模倣品製造業者が地方に工場を持つ場合、一般的には地方保護主義に立つため、その地方の裁判所に訴えても不利になるそうです。
このため、原告として訴えを提起する際には、北京や上海の裁判所に対して行う方がよいとのこと。
そしてもし製造業者が地方にしか工場を持っていなくても、これを仕入れて販売する業者が上海の業者であれば、両方を共同被告として上海に提訴することを提案されていました。
中国の知財訴訟は年々増え、2012年では日本の10倍近くになっています。
中国企業から訴えられるリスクは高まる一方ですので、お客様に対してどのような点に注意すべきかしっかりアドバイスできるように、知識を深めておくことが重要ですね。