「弁理士職業賠償責任保険」という保険があります。
弁理士の業務において不測の事故が発生した場合、その損害を補償する保険です。
もちろん事故を起こしてはなりませんし、そのための体制も整える必要がありますが、万一の場合を考えて、弊所でも事務所の開設当初からこの保険に加入しています。
さてこの保険ですが、毎年8月1日に更新されることになっています。
先日、新しい証書とともに最新の「事故対応ハンドブック事例集」が届きました。
この事例集によると、毎年平均して30件前後の相談があるとのこと。
相談=事故ではないのかもしれませんが、事故につながりそうなものを含めると少なくとも年30件以上は何らかのトラブルがあるということですね。
加入事務所は2014年度で1500件強ということですので、毎年約2%の事務所で何らかの問題が生じていると言えそうです。
少ない、とは言えない数字だと思います。本当に気を付けないといけませんね。
事故の約8割が特許に関係するものだそうで、その発生原因についても分析していました。
(1)うっかり
審査請求期限を忘れていた、提出書類作成時に表1を記載すべき部分に図1を記載してしまった、等
(2)コミュニケーション不足
事務所とクライアント、事務所と海外代理人、弁理士と従業員間の意思疎通不足による過誤
(3)管理体制不十分
担当者の定めが明確でない等
(4)知識不足・誤認
あまり多くはないものの、外内・内外案件では比較的発生しやすい。
PCTルート外内出願で、翻訳文提出期限を知らなかった、米国特許出願時、IDS提出が必要なことを認識していなかった、等
(4)については「おいおい・・・」という感はありますが、(1)~(3)についてはちょっとでも緩い部分があると起こりえると思います。
これを機に、弊所のチェック体制で更に漏れが出ないようにするにはどうすればよいか、もう一度考えてみようと思います。