特許異議申立制度が利用できるのは、特許掲載公報(特許公報)の発行の日から6月までと規定されています。
特許出願を行うと、通常2つの公報が発行されます。
1つは「公開特許公報」で、こちらは出願から1年6月経過すると発行されます(原則)。もう一つは「特許公報」で、こちらは特許権の設定登録があった時に発行されます。つまり、特許庁の審査を受けた後に発行されるものです。特許異議申立制度に関係する公報は、後者のほうですね。
さて、競合他社の特許を確認する場合、まず「公開特許公報」について調査を行い、危なそうなものが見つかれば、必要な処置(情報提供制度の活用、自社製品の設計変更)を施しつつ、最終的には「特許公報」で判断するということが多いのではないかと思います。
「公開特許公報」→「特許公報」の順で確認するパターンですね。
しかし、「公開特許公報」が発行されずに「特許公報」が発行されることがあります。例えば、一定要件のもとで特許庁の審査が早期に行われる「早期審査制度」を利用して、「公開特許公報」の発行前に特許庁の審査が終了してしまうと、「特許公報」のみが発行されることになります。
このため、「公開特許公報」は十分調査をするものの、「特許公報」は危ないと判断した「公開特許公報」のものしか確認していない、というフローで業務を進めていると、抜けが出てしまうことになります。
特許異議申立制度を生かすには、「特許公報」についても十分な調査が必要になりますので、頭の片隅に留めておいて頂ければと思います。